4年前の絵
僕の中ではごく最近に描いた絵だった。だが今回ハードディスクをあさって手に入れたこの絵は、もう4年も前に描いた絵だった。正確に言うと、2000年9月27日、20:28:00。
パソコンの中には確実な記録が残る。あいまいな人間の記憶を許さない精緻さで。
最先端で最新のテクノロジーなはずの、世界をリアルタイムでつなぐインターネット、そしてその端末は、もうとっくに、僕の歴史を刻みつつあるものになっていた。そういった世代が手にするのは、脳の中にあるいわゆる"思い出"に余計なおせっかいを働き、または否定する悲しい外部記憶なのではないか。
この絵は、僕が通勤している間にいつも見た風景。アパートの屋上で、古びたエアコンの室外機が風に揺られてくるくる回っている光景を描いたものだった。
この建物は今はもう無い。この場所には現在あたらしい家が建っている。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント